2005年08月23日

当事者の危機感

小泉首相が郵政民営化を心底焦ったかのような動きを見せたのが今回の総選挙です。

曰く。

『郵政三事業の民営化に反対するということは、手足を縛って泳げというようなものだと。』

小泉政権が手足を縛られているような言い方ですね。

しかし。

郵政公社もまた、手足を縛られている模様です。



◆郵便事業黒字化方策、「国際物流を柱に」 郵政公社総裁

 日本郵政公社の生田正治総裁は25日午前の参院郵政民営化特別委員会で、将来的に郵便事業を黒字に転換させる方策について「国際物流を事業の柱にしたい。成長分野であるアジアの物流に入り、日本の郵政事業にふさわしい活動をして、存在感を出したい」と述べ、アジア市場を中心に国際物流の強化をはかる考えを強調した。

 生田氏は、郵政民営化法案が成立すれば07年4月の民営化前でも国際物流に参入できることから「法的に国際物流への進出が可能になれば、準備期の来年4月以降、進出に取りかかりたい」と語った。

 国際物流を強化する理由について、生田氏は「国内の通常郵便の引受数が毎年5、6%減る状況では先行きが厳しい。通常郵便と、ゆうパックやダイレクトメール、国際便などの売上比率は9対1だが、7対3かそれ以上の比率にして初めて黒字構造になる」と説明した。

 藤野公孝氏(自民)の質問に答えた。

<朝日新聞:2005年7月25日(月)>


◆郵政公社 新事業への参入頓挫 収益先細りに危機感

 郵政民営化法案の否決で、日本郵政公社がめざす国際物流など新規業務への参入は当面、道が閉ざされた。公社法の規定では手がけられる業務の範囲に限界があり、民業圧迫との批判もつきまとう。郵便、貯金、保険の3事業の規模が次第に縮小するなか、窮屈な経営を迫られそうだ。

 生田正治総裁は8日夕、記者団に「公社のままでも、まだまだ改善の余地がある」と経営努力を続ける姿勢を強調したが、「郵便局網の維持がだんだん重荷になる」と危機感もにじませた。

 法案否決で、公社が準備中の一大事業が封印された。欧州の国際物流大手「TPG」との物流合弁会社の計画で、民営化後に現行法で参入できない国際物流の事業進出が認められるため、前倒しで準備を進めていた。

 すでに公社幹部が何度もオランダのTPG本社を訪れ、「あとは調印だけ」(公社幹部)だった。民営化法案の否決で収益源探しは頓挫し、経営に影を落とす。


 公社移行後の決算は03年度2兆3000億円、04年度1兆2000億円と当期黒字で推移しているが、内実は厳しい。約5200億円の債務超過を抱える郵便事業は、電子メールの普及などで苦戦し、はがきなど通常郵便の売り上げは年に5〜6%ずつ減少する。それを堅調な郵便小包などで補い、全体で約2%の落ち込みに食い止めている。

 黒字の大部分を稼ぐ郵便貯金も、過去に旧大蔵省資金運用部に預けた預託金利息頼りなのが実情で、先細りは確実だ。民営化の頓挫で、リスク資産へ運用を広げる道が断たれれば、国債中心の運用を続けざるを得ず、収益向上の展望は開けない。簡易保険(簡保)も公社のままでは、競合する民間並みに商品群を用意することは難しい。

 生田総裁は国会で、公社のままなら、経営悪化のしわ寄せが利用者に回る可能性を示唆し、「公社が生き延びる選択肢は、公社法に民間並みの経営の自由度を与えてもらうか、難しいなら早期の民営化で完全に自由に経営をさせてもらうことだ」と何度も訴えた。

 現実には公社法改正は難しく、現行法の枠内で新規事業を模索することになるが、どこまで経営改善につながるかは不透明だ。

<朝日新聞:2005年8月9日(火)>


郵政公社は現行法では国際物流業にまともに参加できません。

ですが、民営化を見越して事前に新しい事業への交渉を始めていたわけです。

それが正に事業開始直前にして頓挫してしまいました。

赤字の郵便事業をトータルで黒字化するために始めるはずだった事業が、です。



民営化反対派は常々『国内の郵便網を維持しなくてはならない』と言います。

では財源はどこからと聞けば口を揃えて『税金で』あるいは『郵貯・簡保の利益で』と言う。

ですが税収など既に財政の中では破綻状態。

郵貯簡保の利益など今のままでは先細りが確定路線です。

どこから金が出てくると言うんでしょうか。



また一方で『4年で法改正をすると決めた。後2年ある。それから考えればいい』という。

これも巫山戯た話です。

民間企業じゃ2年も待ったら時代遅れなんです。

スタートに遅れた企業を誰も待ってはくれません。

その隙に前面に躍り出た企業がテリトリーを広げる間、遅れた側は残りの陣地が無くなっていくのを見ているしかないんです。

この認識のズレがかつてのような失政を産むんですよ。



郵政公社は『国内郵便網の維持』をするために新たな収入源を確保するはずでした。

フライング気味ではありますが、業態が変わるわけですから前準備をすることは全く正しい行為です。

当事者たる郵政公社は自分自身を維持するための手段を準備しようとしていたんです。

民営化反対論者はそれを邪魔したんです。

自分の地元、自分の権力に拘泥するあまり、郵政公社が本来手に入れられたはずの未来の利益をぶち壊したんです。




この遅れをどう取り繕ってくれるのか、私は本当に民営化反対は全員に問いただしたいですよ‥‥‥。





参考:

郵便局はいかさま天国? 「自民党と歩んだ相互膨張の半世紀(前半)」

なぜ選挙に走るのか 「自民党と歩んだ相互膨張の半世紀(後半)」
posted by バビロン7 at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 衆院選2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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